億首ダムは、現在金武町にある金武ダムの下流に新たに設置される多目的ダムで、洪水調節、既得用水や河川維持用水の安定化、水道用水及びかんがい用水の供給を目的としています。
現在、当社を含むJVにて本体堤体部を建設しております。
台形CSGダムとは
ダムの形式には多様な種類があり、河川の状況や周辺地形、地盤、またはダムの目的などにより様々です。
今回、億首ダムの本体工事に採用されたのは「台形CSG」というこれまでにない新しいダム形式であり、本ダム堤体への採用は世界初となるものです。
「CSG(Cemented Sand and Gravel)」は岩石質材料にセメント、水を添加し簡易な混合により製造されるセメント系固化材であり、現場の近くで容易に入手できる河床堆積物や掘削ズリなどを材料とするものです。
現場で入手できる材料を主原料とすることで、コスト縮減や環境の保全に効果があります。
台形CSGダムの特長
(1)設計の合理化
堤体形状を台形にすることなどにより、堤体内に発生する最大発生応力,応力変動を削減し、CSG材に要求される必要強度を最小限にする設計手法を用います。また基礎地盤に求められる強度や変形性に対しても、コンクリートダムに比べて許容範囲が広くなります。
(2)施工の合理化
CSG材の要求性能を低く押さえることにより、CSG材の製造方法,施工方法を簡素化。具体的には、骨材プラントの省略,施工設備の簡素化,汎用機械の使用により、コスト縮減と急速施工を可能にします。
(3)材料の合理化
CSG材の要求性能を低く押さえることにより、その母材となる岩石の使用許容範囲が広く、従来のコンクリートダムでは使用されなかった風化岩や掘削廃棄岩の有効利用が可能となります。
その他
(1)プレキャスト型枠の採用
堤体面の型枠として、スライド型枠ではなく、プレキャスト型枠を採用している。
あらかじめ作製されたコンクリート製の型枠を設置し、残置型枠とすることで作業の単純化が図られ、これまで型枠のスライドに要していた時間に比べると工期の短縮に貢献しております。
また、廃棄型枠の減量にもつながります。
さらには、高所での作業が軽減されることで、安全性の向上にも役立っております。
(2)法肩締め固め工法
法肩部では振動ローラーによる締め固めが困難であるため、小型バックホウに特殊な振動プレートを付けたバイブレータを採用している。これにより法肩部においても端部型枠を使用せずに十分な締め固めが可能となっている。
(3)環境・近隣配慮
現場周辺の貴重な自然環境、及び近隣地区への影響を考慮した配慮として、赤土等の流出対策、濁水処理設備の設置、排出ガス対策型建設機械の使用、エコドライブの奨励、貴重動植物に関する教育・指導、近隣道路の散水・清掃、交通に関するルール作り、等々、多面にわたる対策を行っている。
工事概要
名称 | 億首ダム本体建設工事 |
場所 | 沖縄県国頭郡金武町字金武地先(億首川水系億首川) |
発注 | 内閣府沖縄総合事務局開発建設部 |
設計 | ㈱アイ・エヌ・エー(本体設計) |
諸元 | 形式・台形CSGダム |
堤高・39m | |
堤頂長・400m | |
堤体積・339,000m3 | |
総貯水容量・8,560,000m3 | |
工期 | 2009年3月 〜 2012年3月 |
施工 | 大成建設㈱・㈱國場組・㈱丸政工務店 特定建設工事共同企業体 |